さかいめ

眠いし眠らなくてはならないのだけれど

 

だけれど

 

野球少年の言葉

「周りの人への感謝の思いを胸に精一杯がんばります!」

まっすぐな目をした彼は今どこで何をしているのかな

 

私はその言葉を縁側を開け放した暑い日、冷やし中華を食べながら見ていた

スイカの柄のシャツを着た小学生

 

「せんせいっっっっっ」

お菓子をもって腕を伸ばすのだけれどなかなか届かなくて

後ろ姿ばかり見ている

脱毛サロンに通っているのは気づいているよ

 

 

「ねえ、グラウンドを見ているのよ。

夏の、グラウンド。ううん、学校のグラウンド。

土間にパイプ椅子を置いて、トランペットを吹きながらグラウンドを見ているの。光で視界がぽーっとしてきてセミが鳴いてるの。

その音に混じって、あのこの高音が聞こえてくるから私は焦って練習を始めるわけ。グラウンドを見ながら。グラウンドの黄土色がね、目の前に迫って、セミが鳴いて、あっついったらありゃしない。そのうち自分がグラウンドの黄土色に飲まれそうな感覚がしてね、あれは蟻地獄よ。

ねえ、聞いてるの?

ねえってば」

 

 

 

 

深刻な話を笑って話す私真剣な目で見つめる貴方

 

 

 

 

 

暗い夜道をあの子が歩く。

後ろから車が来て拉致して犯して川に捨てられる。

川は流れるだけ

どれだけ負け続けても流れは止まらなく、川原に咲く紫の花は存在するだけ。

 

「あの子」という人称にしてしまう辺りが私の弱さでありズルさであり性であると感じる。

恐ろしいものは恐ろしいのだ。

 

 

とろとろと眠りそうな頃、

幼かった私は様々な光が見えた。

金色や赤のキラキラたちが光ってパレードをした。

しゃんしゃんと異国情緒溢れる音楽と共に。私に限った話ではないらしい。

 

 

 

 

 

 つまり、眠いのだ。