「日常とロマンチックは地続き」
瞬間こそが大事で、後に意味付けしてロマンチックに浸ることなんて虚構。
笑顔だったということが事実で、それだけ。それ以上でもそれ以下でもない。
夜に振り替えって、心を切なく彼の声によってかき乱される、
というのは妄想であって虚構。
現実の二人の間の雰囲気、表情、声
本当に、それ以上でもそれ以下でもなくその現象だけが存在し、感情となる。
彼と一緒にいる間、私は彼の前髪に吹き出しそうだったし、爽やかな気分だった。
妄想する時のような、身を焦がす感覚はなかった。
これが答え。
妄想こそが生きる糧であった私は、
受験は大学生活の妄想で乗りきり、
叶わない恋も妄想で愛を育てた。
受験は第一志望に受かり、
恋愛は終わろうとしている。
妄想なしでどうやって生きていけばいいの?
夜寝る前の時間は、
何か嫌なことがあったときの気の紛らわし方は、
隙間の時間は、
どうすればいいの?!
私の恋愛は妄想と共にあった。
常に叶わない恋をして、
身を焦がすのは決まって一人でいるときで
現実はうまくいかないと感じていた。
妄想のための恋。
そう一言でいってしまうには、あまりに葛藤と成長があったと感じるけれど、事実かもしれない。
それでも私は、現実を力一杯生きて、がしがし頑張る中で、
いつか彼とひょんなタイミングで二人きりになれると信じている。
それは日々の妄想ではなくて、
静かな自分の聖域で確信しているようなもので、
十年先か五十年先かもしれないけれど、そんな日が来ることを私は妄想せずとも確信している。
それまで、現実で別の人と恋もしながら生きていくと思う。
いつか彼と含んだ微笑みを交わし目線を落とす日が来る。
それがきっと、私の日常の中のロマンチック。